東京の歩き方 How to walk around Tokyo

ビールと本について書くブログ。時々 カフェとNFL

チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力(ボリス・ジョンソン ) ブックレビュー21

こんにちは、

アジュベです。

 

 

やや歴史物っぽい、しかし小説的な本の紹介です。

 

チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力
名前は聞いたことがある人がほとんどだと思いますが、
イギリスの元首相、ウィンストン・チャーチル氏の生涯について書かれた書籍です。
 
著者は、新聞記者やロンドン市長を経て、
保守党下院議員を務めているボリス・ジョンソン氏。
氏は、イートン校、オックスフォード大学ベリオール・カレッジ出身の
高学歴なイギリス人です。
 
チャーチルの人となりが主題
 
さて本書は、第二次世界大戦時の1940年から1945年7月にかけて、
また、大戦後の1951年から1955年にかけてイギリス首相を務めた
ウィンストン・チャーチルについて記載された書籍です。
チャーチルの、政治家としてはもちろんのこと、軍人として、夫としての
人となりについて、時間を行きつ戻りつしながら描かれています。
 
チャーチルを賛美する前提で書かれている
 
舞台の中心は、第二次世界大戦時。
チャーチルは、ヒトラー率いるナチスドイツの支配の恐怖から
たった一人でイギリスはじめヨーロッパを救った英雄として描かれています。
そして、それはチャーチル以外に実行できる人はいなかっであろう、とまで。
一人で動かした、他にできる人がいなかった、というのは
著者の思いが強くにじみ出ている印象です、。
 
歴史を知るための本ではなく、チャーチルの伝記
 
物語は、チャーチルの周辺の歴史についての記述もされていますが、
目的は史実を伝えることではなく、あくまでチャーチルという人間がどういう人で、
どのような人生を歩んだのかを伝えること。
なので、19世紀後半から20世紀半ばにかけての
イギリスやヨーロッパの歴史を正しく把握したい方は、
本書とは別に歴史の本を読むべきです。
 
エンタメとして楽しむ本
 
なので本書は、何かしらの事実を知ったり、事実に基づいた教訓を得るのではなく、
チャーチルの人となりを知って楽しむ、エンターテインメントという色彩が強いです。
エンタメであると割り切り、チャーチルがどんな人なのか知りたい!
という思いを持っていれば、大変面白い読み物です。
実用書ではなく、小説寄りに捉えて読んでみてください。
 
ではまた

新版 ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (W・チャン・キム レネ・モボルニュ ) ブックレビュー20

こんにちは、

アジュベです。

 

戦略に関連した書籍の中では比較的新しい名著のご紹介です。

 

[新版]ブルー・オーシャン戦略―――競争のない世界を創造する (Harvard Business Review Press)
初版は2005年の刊行、そして新版である本書は2015年の刊行です。
本を読まれたことがない方でも、 “ブルーオーシャン”という言葉は
一度はどこかで聞いたことがあるでしょう。
 
著者のW・チャン・キム氏と、レネ・モブルニュ氏は、
INSEADの教授。
INSEADというのはフランスやシンガポール、中東のアブダビにキャンパスのある
また両氏は、“経営思想界のアカデミー賞”ともいわれるThinkers50で、
2位に位置づけられたこともあります。
 
戦わずして勝つための方法論を記述
 
さて本書は、企業が“いかに戦わずして”ビジネスで勝つか、が書かれています。
世の中の大半の企業は、“いかにして競合との戦いに打ち勝つか”を考えがちですが、
競合中心に考えると、顧客のことを考えることがおざなりになりがちです。
本書の説いているのは、あくまで顧客のことを考えることが重要、
顧客に選んでいただける企業になるためにすべきことを検討し、
実行することが、戦わずして勝つことにつながる、ということです。
 
ブルーオーシャンは大きな利益のチャンスが存在
 
戦わずして勝つには、既存のマーケットではなく、“ブルーオーシャン”に
飛び込む必要があります。
そのブルーオーシャンというのは、まだ競合に切り開かれていない、
未知の市場全般を指します。
未知だからこそルールが未整備なため、いち早く切り開くことで
ルールづくりなどを通して、自社がうまみを享受することができる、ということです。
 
組織づくりにも言及しており、実用的
 
また、本書は、ブルー・オーシャン戦略を実行するにあたっての
組織づくりの方法についても書かれており、この点から、
単なる教科書ではなく、まさに“実用書”であえるといえます。
 
実務家におススメの一冊
 
実用書であるからこそ、企業のマネジメント層など、
日々、経営戦略・事業戦略策定や、組織づくりに従事している方に
適した一冊でしょう。

 

ではまた

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則(ジム・コリンズ) ブックレビュー19

こんにちは、

アジュベです。

 

あまりにも有名なので、ご存知の方も多すぎるくらいに多い名著のご紹介です。

 

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則
ジム・コリンズ
日経BP
売り上げランキング: 960
まずは②を読み、その後に①を読みましょう
 
早速ですが本書、著者ジムコリンズ氏もおっしゃっている通り、
ビジョナリーカンパニー(①:シリーズの第1作)の前に読んだ方が良いです。
まずは②を読み、その次に①を読むのが適切な流れです。
スターウォーズと同じとお考えください。
 
経営者の古典的バイブル
 
さて、本書は発刊から20年近く経っており、
ビジネスパーソンが読むべき書籍としてあまりにも有名です。
経営者にとってはなおの事で、自社を発展されるために何をすべきか、
指針としている方も多いでしょう
 
シリーズ第1作と比べてより実用的
 
シリーズ第1作と比較した本書の特徴は、ベンチマーク企業との1対1の比較ではなく、
業界内での複数企業との比較をしている点にあります。
さらには、比較結果という事実を記述するに留まらず、
企業が成功するために何をすべきなのか、
一般論にまで昇華させることにより、
誰しもが自分の会社に活用できるような、実用性を生み出している点も、
①との違いといえます。
例えば有名な“だれをバスに乗せるか”や、他には“人ではなく、システムを管理する”など。
これらは事例を用いて説明した後に、3〜4行のメッセージでまとめられています。
 
途中のまどろっこしい文章は読み飛ばしましょう
 
ただ、この事例説明、箇所によっては同じことの言い換えを繰り返しており、
、読んでいてまどろっこしく感じることが多々あります。
そこは割り切り、スパッと端折って読み進めましょう。
 
組織変革の時間軸は要議論
 
1点、本書の内容で共感し切れていないところ、
私自身が答えを出し切れていないところがあります。
それは、組織の変革には時間がかかる、ということ。
これは、私自身がこれまで仕事をしてきた実感や、
他のバイブル的なビジネス書籍の主張の逆をいく主張です。
私の、コンサルタントという自分の職業も関係しているのかも。
もしかすると前提とする条件などを鑑みると、逆の主張ではないのかもしれませんが。
これからの要検証事項と捉えています。
 
経営者必読
 
まずは(弊社も含めて)経営者必読の書籍です。
 
ではまた

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件(楠木 建) ブックレビュー18

こんにちは、

アジュベです。

 

 戦略策定に関する本のご紹介です。

 著者は、楠木 建さんです。

 

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
研究者の書いた本だが、実務的
 
楠木氏は、一橋大学大学院教授で、専攻は競争戦略とイノベーション
一橋大学を卒業されてから一貫して研究者人生を歩んでこられた方であり、
企業の経営企画やコンサルファーム出身の、いわゆる“実務家”ではありません。
それでは本書が学術書的であり、実務への適用からは程遠いのかというと、
全くそんなことはありません。
 
ストーリーを重視した戦略の本
 
本書は、企業が市場で競争に勝ち残るための戦略策定の方法を
“ストーリーの”一貫性を重視するという立場から、
具体的な企業の事例を挙げながら説明しています。
 
コンセプトに合致したストーリーを構築
 
ストーリーの一貫性というのは、ビジネスにおける個々の施策が、
予め設定したコンセプトに合致しているということです。
ですので、まずはビジネスのコンセプトを磨き込むことが必要であり、
施策を決めるのはその後、ということになります。
例えば本書でも紹介されている、低価格運賃で有名なサウスウエスト航空
ローカル空港同士を結ぶポイント・トゥ・ポイント方式の路線構築や、
機内食の有料化は、“空飛ぶバス”というコンセプトを設定した結果
導き出された施策である、ということです。
 
成功を、“静止画”的ではなく、“動画”として説明
 
事例としては他にも、セブンイレブンマブチモーター
アマゾン、アスクルなど、ビジネススクールのケースに出てくるような
企業について記載されています。
しかし、この本独自の点は、企業が過去のある時点の問題へどのように対処した
ということではなく、企業が好循環に入ったということ、
それはどのようなストーリーが基になっているのかということを
説明している点にあります。
 
フレームワークで分かりやすく説明されている
 
また、フレームワークが用意されているので、
本書の内容を頭の中で整理することができる点、実用的です。
フレームワークについて少しだけいうと、
 
・“戦略ストーリー”の5Cなるものが存在し、それらを適切な順序で考えることで、
 “動画”なる、戦略ストーリーを構築できる
・戦略ストーリーには、強さ、太さ、長さが重要である
 
など。
フレームワークが出てくるところでは自分の会社に当てはめてみると
より本書を活用できるでしょう。
 
ビジネスパーソンのバイブルになり得る
 
一般的に“戦略とは何か”という問いへの答えは難しいと思うのですが、
“有効な戦略はどのように立てるべきか”には答えてくれている本です。
ビジネスパーソンのバイブルになる一冊でしょう。
 

ではまた

V字回復の経営―2年で会社を変えられますか(三枝 匡 ) ブックレビュー17

こんにちは、
アジュベです。
 
三枝 匡 さんの著書の紹介です。
 
V字回復の経営―2年で会社を変えられますか (日経ビジネス人文庫)
三枝氏はBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)日本法人の採用第1号、
その後スタンフォード大学MBAを取得し、事業・企業再生のスペシャリストとして活躍、
ミスミグループ本社代表取締役CEOなどを務められた方です。
日本の戦略系コンサルティングの草分け的存在であり、
企業・事業再生の伝説的な請負人といえる方です。
 
事実を基にした、企業再生の実用書
 
本書は三枝氏が実際に請け負った案件を再構成し、小説風に書き上げた
企業変革に関する書籍です。
小説風ではありますが、ダメな組織の症状や改革のステップ、
改革へ向かう際の5つの連鎖など、実用的なフレームワークも書かれており、
単なる小説にとどまらない、むしろ実用書に近い内容になっています。
登場人物は、実在の人物を複数掛け合わせて1人として描写するなど、
機密情報が漏洩しないよう配慮されていますが、実際の案件ベースならではの
臨場感を感じることができます。
 
描写が生々しく、“あるある感”がある
 
ストーリーは、業績が悪化している事業の中で主人公が
コンサルタントの力を借りながら奮闘し、組織改革を通して
業績を回復させていくというもの。
もちろん最終的には業績向上へ向かうという筋書きなのですが、
結末よりも、むしろ立て直しの過程の描写が生々しくておもしろい。
特に組織改革を始める時、各社員を協力度合いにより類型化しているところ、
今の自分の会社にあてはめてみると、すごく納得感があります
 
社員全員が一斉に読むべき
 
この本は、企業経営者はもちろんのこと、事業部のトップ、マネージャーなど、
組織改革に携わるあらゆる階層の方に指針を与えてくれます。
社員全員の意識合わせを行うには最適な一冊です。
 
モデルの企業はネットですぐにわかります
 
また、本書の舞台となる“太陽産業” “東亜テック”と言った企業は
三枝氏が実際に再生を請け負った、モデルとなった企業が存在します。
氏はクライアントへの配慮から、積極的には企業名を明かしていませんが、
逆に企業の方から、オープンにされているよう。
ネットで検索すると簡単に出てくるので興味のある方はぜひ。
 
ではまた

ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言(田端 信太郎) ブックレビュー16

こんにちは、
アジュベです。
 
田端信太郎さんの著書の紹介です。
 
ブランド人になれ!  会社の奴隷解放宣言 (NewsPicks Book)
田端 信太郎
幻冬舎 (2018-07-06)
売り上げランキング: 1,033
田端氏はリクルートでフリーマガジンのR25を立ち上げられた方で、
ライブドアやLINEを経て、現在スタートトゥデイで
コミュニケーションデザイン室長をされています。
twitterへもよく投稿されている、いわゆるインフルエンサーです。
 
 
さて本書は、ビジネスパーソンがこれからの時代をどうすれば乗り越えていけるのか、
仕事を楽しみ、同時に満足のできる収入を得る、自分の属する企業でなく、
自分自身の価値で生きていける“ブランド人”になるためには
どのようなマインドセットを持ち、職場でどのように行動すべきなのかを
指南している本です。
 
いつでも、どの箇所からでも読みやすい
 
本書の構成は、“汗水に価値はない”などといった端的なメッセージの後に、
それぞれ2〜5ページ程度で具体的な説明が記載されており、
隙間時間を活用して読み進めたり、目次を確認し、気になる箇所から
優先的に読んだりと、柔軟な読み方に対応できる構成になっています。
 
リアルなシーンと断言口調が突き刺さる
 
書かれているメッセージは一般論的な事柄が多いですが、
その説明の内容は、田端氏のリクルート時代やライブドア時代など、
実際にビジネスパーソンとして働かれていた内容も盛り込まれており、
具体的なシーンを想像することができます。
さらに、問いかけ形式ではなく、一言ひとこと氏が断言している文体なので
潔さが感じられて心地良い。
全く説教臭く感じませんでしたが、企業におんぶに抱っこなマインドの方が読むと
“説教くさいなあ”と感じるのかもしれません。
そもそもそういう方は本書を読まなくて良いと思いますが。
 
まさしく“指南書”にしたい本
 
プロローグに出てくる、“会社の名前ではなく、自分の名前で仕事をする「ブランド人」にならなくては、もうダメなのだ”という一文、
この意見には大賛成で、私自身も普段仕事をしながら、肌でビシビシと感じています。
そしてこの流れはさらに加速していくのでしょう。
時代の変化に取り残されないためにも一度は読んで、
そして書棚に入れておき、生き方、働き方に迷いが出た時に
何度でも読み返したくなる一冊です。
 
ではまた

エビス ザ・ホップ エビスビールの2018年新作限定商品です ビールの感想62

こんにちは、

アジュベです。

 

近所のダイエーで見かけたので買ってみました。

5月8日に発売したところ、エビスの新作ビール。

 

エビス ザ・ホップです。

 

f:id:ajube:20180519193525j:plain

エイジゲート | サッポロビール

 

“ザ・ホップ”ということでホップが効いてるのかと思いきや、

あまりホップの香りは感じません。

麦芽感の強い、いかにもエビスという味わいです。

ただ、通常のエビスよりは苦味が控えめ。

 

チェコのザーツ産のホップを“一部”使用しているとのことですが、

プレモルの味をイメージして買うと、肩透かしを食らうでしょう。

“一部”ってどれくらいなのか・・・。

 

エビスビールの良いイメージが強すぎるがために、

プレミアムビールには“エビス”のブランドをつけてしまいます。

しかしそれが故に、エビスビールの味のイメージから抜け出せていないのかも。

ホップを強調したいなら、いっそのこと別ブランドにした方が良いでしょう。

そして開発チームも完全に新規立ち上げ。

未来の収益源を育てるには今のうちにこんな仕込みが必要ですね。

 

ここ3回連続で国内ビールが続いたので、そろそろ海外のビールをレビューしたい。

と言いつつ、冷蔵庫の中はふるさと納税でゲットしたよなよなエールでいっぱいです。

次回は、よなよなエールかな。

レビューしたことなかったかな。

 

ではまた

 

 

大前研一 世界の潮流2018〜19 ―日本と世界の経済・政治・産業(大前研一) ブックレビュー15

こんにちは、
アジュベです。
 
大前研一さんの著書の紹介です。
 
初めにお伝えしておきますが、2時間くらいでサクッと読める本なのであまり気負わずレビューを読んでください。
 
大前研一 世界の潮流2018〜19 ―日本と世界の経済・政治・産業
大前 研一
プレジデント社
売り上げランキング: 809
詳細なご紹介をするまでもありませんが、大前研一氏は日本における戦略コンサルティングを切り開いた一人、元マッキンゼーコンサルタントであり、現在はBBT大学の学長をされている方です。
大前氏の経歴を書き始めると到底1回のブログで終わらないので、あまりにもさらっとした紹介であることはご勘弁&ご承知おきください。
ちなみに私と同じ大学・学部の先輩でもあります。
学科は違いますが。
 
大前氏は今でも頻繁に著書を出されており、それらの本はコンサルタントのみならずビジネスマンの知識や教養の蓄積、思考力の形成にとても役立つものだと思います。
大前氏のコンサルタントとしての貢献だけでなく、後進・人の育成にとても貢献されているという点で、素晴らしい方だなあと常々感心してしまいます。
 
政治・経済についての本です
 
さて、本書は日本に関わる、政治・経済についての最近の動向と展望について書かれた本になります。
第1刷発行は2018年4月18日ですが、語り口調から、執筆されたのは2017年12月頃までと推察しています。
 
やはり予測が的確
 
まず驚かされるのはその慧眼。
アメリカのティラーソン元国務長官の自身の発言によるトランプ大統領からの解任(その後解任された旨の脚注あり)や、イスラエルのアメリカ大使館のエルサレム移転の2018年5月の完了など、もちろん様々な情報を収集していたり、予想が外れることも多かったりするかもしれませんが、事前に明言してその通りになるのは舌を巻かざるを得ません。
 
納得できる論理性がある
 
結果は別としても、大前氏の論調に惹かれるのはやはりロジカルであるから。
GDPやマネタリーベース、株式時価総額まで、マクロなデータを使いながら短中期の動向を推測しているのですが、それが実に納得のいく論理。
なんとなくの思いつきで”日本はもうダメだ”とか”株式市場が過熱してて危ないよ”などとは誰にも言えるのですが、それをバックデータと論理を示して提言している、それが本書、ひいては大前氏の素晴らしいところだと思います。
 
今の大前氏は日本にとって希少な人材
 
普段、国や企業のあるべき姿を考えることもない人にとっては、理屈っぽいとか口うるさいと感じるかもしれません。
しかし提言内容や、このまま抜本的な改革を行わない場合の日本の衰退については筋が通っており、もしもこのような意見が異端であるならば、日本は衰退していくのだろうと思います。
 
まあ2時間くらいで読めるボリュームなので、あまり難しく捉えず、新聞の社説の延長線上くらいに捉えて読んでも損はないと思います。
コンサルタントは必読ですが。
 
ではまた
 
 
 

金持ち父さんのこうして金持ちはもっと金持ちになる(ロバート・キヨサキ/トム・ホイールライト) ブックレビュー14

こんにちは、

アジュベです。

 

本日は”金持ち父さん貧乏父さん”で有名な投資家、ロバート・キヨサキ氏の著書の紹介です。

 

金持ち父さんのこうして金持ちはもっと金持ちになる: 本当のフィナンシャル教育とは何か? (単行本)
 
 
共著者のトム・ホイールライト氏はキヨサキ氏のファイナンシャルアドバイザーをしている公認会計士です。
 
日本にも適用できる考え方
 
本書は、借金をうまく活用することで税金の支払いを抑え、いかに資産を効率的に増やしていくことができるか、を教示してくれます。
当然ですがアメリカの税制を前提に書かれているので、利率など、細かいところは日本の事情と異なりますが、それでも、”借金をして不動産を購入すると、返済分は減価償却費として所得控除されるので課税されない”、”政府が紙幣を印刷し続ける以上、現存通過の価値は相対的に下がるので、貯金は価値が目減りし続ける(インフレが継続する前提)”などは共通の考え方であり、参考になります。
また、ダウ平均株価のチャートを見せながら”株で儲けることは今の時代できなくなった”との指摘もあります。
これには株式に投資をしている私は少しショックでした。
 
”金持ち父さん貧乏父さん”を読んだ後に読むべき
 
”金持ち父さん貧乏父さん”と比較した位置付けをみると、本著は”大学院生向け”とのことです。
つまり、”金持ち父さん貧乏父さん”で資産の増やし方についてのマインドセットを形成した人が、その次に、具体的にどのようなアクションを起こすべきなのかを学ぶための本、という位置付けのようです。
”金持ち父さん貧乏父さん”でも、節税や、お金がお金を生み出すこと、について書かれているのですがどちらかというと観念的。
一方本著は前述の税制の説明などで補足しながら、より具体的に、どんなアクションをとることでどうして金銭的に得をするのかを説明しています。
ただし、支払う税額が抑えられることも含めて”お金が増える”という説明をしており、この考え自体は全くもって正しいのですが、数字の苦手な人は理解しづらいかもしれません。
そしてそういう人は”金持ち父さん”にはなれないのだろうなとも思います。
 
節税はむしろ国の意向に沿った行動
 
これだけ金持ちだ節税だといっていると、金の亡者による金の亡者のための本と捉えられるかもしれませんが、それについてはキヨサキ氏はきっぱりと否定しています。
なぜ節税できる仕組みがあるのか、それは、政府が国民にとってほしい行動があるから、そういった行動をとるインセンティブを働かせるために税優遇の施策をとっているのだと。
日本でいうと、住宅ローンの返済が所得控除されるのは、政府が国民に住宅を持つことを推奨しているから、ということです。
これには、なるほどと頷かされました。確かに、本当に節税されるのが嫌なら節税できる仕組みをなくしてしまえば良いだけのことですから。
納税額を抑えている人ほど愛国的だ、という意見にも納得できます。
 
ただし、キヨサキ氏も言っていますが、節税と脱税は別物です。
払うべき税金はきちんと払いましょう。
 
まとめが単純になってしまいましたが、このへんで。
不労所得を増やして労働から解放されたい人はぜひどうぞ。
 
ではまた
 
 
 

生涯投資家(村上世彰) ブックレビュー13

こんにちは、

アジュベです。

 

今日は、10年以上前、”村上ファンド”で有名になった

村上世彰氏の著書のご紹介です。

 

生涯投資家
生涯投資家
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村上 世彰
文藝春秋
売り上げランキング: 4,492
村上氏は大学卒業後、通産省(現経産省)で16年勤務したあと、
M&Aコンサルティングという投資顧問会社を立ち上げ、
”物言う株主”として様々な上場企業へ出資すると同時に、
経営者に対して経営に関する提言をされていた方です。
 
ファンドの規模は順調に成長し、ピーク時には全体で
4000億円ほどを運用するまでになっていました。
しかし転機は2006年に訪れます。
ライブドアニッポン放送株取得に関するインサイダー取引疑惑で逮捕・起訴され、
2011年に結審するまで法廷で戦う日々が続くのです。
 
事実と考えを織り交ぜながら展開
 
本書はそんな村上氏の自伝であり、通産省時代にエジプトでイベント運営に
奔走する様子から、現在のNPOフィンテック企業への投資まで
投資と提言の話を中心に描写されています。
また、投資対象となった企業の経営者の動きや、オリックス宮内義彦氏、
ヨーカ堂伊藤雅俊氏ら、周囲のプレーヤーのとのやりとりの事実だけでなく、
村上氏の考え・哲学も書かれており、氏がいかに日本の企業を良くしていこうと
志していたのかが分かります。
 
村上氏の熱い思いに感銘を受ける
 
逮捕当時、テレビでは「お金儲けって悪いことですか?」という発言や、
”学生時代に株で儲けて高級外車を乗り回していた”など、
およそインサイダー取引とは関係のないことが中心に流されていたと記憶しています。
それに対して私なりに、”お金を儲けることは全然悪くない”と考えたり、
”逮捕されるほどのことはしていない、人間的に嫌われてしまったから逮捕されたんだ”
と思ったりはしていました。
しかし、村上氏の人となり、国家や企業、人に対する熱い思い、
特に、”コーポレート・ガバナンスを日本の企業に浸透させる”という
一貫した投資家としての活動目的については、
本書を読むことで初めて触れることができ、感銘を受けました。
 
村上氏は”コンサルタント”である
 
世間一般では村上氏は投資家のイメージが強いと思いますが、
コンサルティングファームに勤めている私が読んだ限りでは、
経営者に対して提言し続ける氏は、まさにザ・コンサルタントだと感じました。
株を購入して株価を下支えし、さらに経営に関するコンサルティングを行う、
どう考えても企業にとってこの上なく優しくてありがたい、最高の存在です。
 
村上氏の考えが当たり前になることが日本生き残りの鍵
 
しかし、まだ”物言う株主”という言葉が残っているほど、株主が経営者に対して
提言することの価値を多くの人が理解できていないのが日本の現状です。
これには半ば呆れる次第ですが、あと5年以内には、
投資家、経営者、従業員、その他ステークホルダーの利益向上のために
コーポレート・ガバナンスを向上させるという考え方が
もっと世の中に浸透してほしいと思います。
5年というのは、変化にそれ以上の時間をかけていると、
日本が世界から取り残されてしまうという理由からです。
10年といっていては遅すぎるでしょう。
 
投資家やコンサルタント、官僚といったポジションの枠を超えて、
日本に活気を与えたい、国民が幸せになれるような企業のあるべき姿を作り上げたいと
志向している人にオススメの一冊です。
 
ではまた