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イノベーションのジレンマ(クレイトン・クリステンセン) ブックレビュー12

こんにちは

アジュベです。

 

ゴールデンウィークど真ん中、ゴルフやキックボクシングで体を動かしつつ

しっかりと読書も進めています。

 

本日は経営戦略に関する、こちらの本の紹介です。

 

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
著者のクレイトン・クリステンセンさんはBCGなどを経て、
ハーバードビジネススクールの教授をされています。
そして代表作の本書、“イノベーションのジレンマ”は
日本語版の初版が2001年発行と、少し古めの本ですが、
大ヒットしたので読まれた方、名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
 
内容は、商品のイノベーションについてです。
本書内ではイノベーションを、“持続的イノベーション”と“破壊的イノベーション”の
2種類に分類しています。
 
破壊的イノベーションが持続的イノベーションを駆逐する
 
持続的イノベーションは、市場における従来の主要企業が、お客様の声を聞き、
その意見を商品に反映させることで商品性能を向上させ続けるというものです。
一方破壊的イノベーションは、主に新規参入者が、従来品よりも性能の劣る
商品を大幅な低価格で提供するものです。
そして持続的イノベーションを続けたプレーヤーは、破壊的イノベーションを起こした新規参入者に駆逐されるのです。
 
 
記載されている事例の一つに、アメリカ市場におけるホンダのバイクの成功があります。
かつて、アメリカでバイクといえばハーレーダビッドソンに代表される大型のバイクでした。
しかしその分価格は高かったのです。
1950年代、そこへホンダがスーパーカブを引っさげてアメリカへ進出します。
当初は小さい日本製のバイクなんて売れるわけがないというのが
アメリカでの大方の見方だったのですが、
社員が週末、プライベートでダート・ツーリングに使い出したことをきっかけに、
アメリカ市場での成功が始まります。
 
この本からの教訓は、顧客の声を元にして従来品の性能を向上させるだけでは、
破壊的イノベーションが市場に進出してきたとき、
一気に顧客を奪われる可能性があるということです。
もちろんホンダの事例は、従来とは異なるチャネルでの販売や、
イケてるプロモーション活動も、その成功に貢献していますが、
やはり成功の根元にあるのは、商品性能と価格のバランスでしょう。
 
今も破壊的イノベーションが起こっている
 
このようなことは、現在、我々の日常生活の周りでも起こっています。
例えばテレビ、ハイセンス社の50インチ、4Kの液晶テレビ
家電量販店で数万円で売られています。
しかしHDDは内蔵されていません(外付は可能)。映って音が出れば良いのです。
複雑な機能があれこれついて10万円以上のテレビよりも、
シンプルな数万円の方を消費者は選ぶのです。
さらにこれと同じようなことがスマホ市場でも起こりつつある気がしています。
 
もちろん全ての製品に同様のことがいえるわけではなく、
高速バスのウィラー社のように、従来よりも高品質路線に進出し、
成功している事例もあります。
 
顧客との適切なコミュニケーションが大事
 
認識すべきなのは、顧客にとっての“最適品質最適価格が大事”ということでしょう。
そしてそれは顧客の声を聞いたからといって判明するとは限りません。
顧客自身も自分のニーズに気づいていない可能性がありますから。
ニーズを聞く、試作する、試作品を顧客にぶつてみる、可能性の有無を判断する、
改善点を反映する、といったサイクルを繰り返すことが必要なのです。
 
最後に、持続的イノベーションと破壊的イノベーションは、
製品ライフサイクルのどの段階にあるかによって使い分けが必要です。
製品ライフサイクルについては、以下の本を読まれることをお勧めします。
 
ではまた